労働安全コンサルタントは、職場の労働災害を防止し、安全な作業環境を実現するための専門家です。

国家資格である労働安全コンサルタントの試験には、次の5つの区分が設けられています。

  • 機械
  • 電気
  • 化学
  • 土木
  • 建築

同じ労働安全コンサルタントでも、選択する区分によって専門試験の内容は大きく異なります。

また、受験者の保有資格によっては筆記試験の一部が免除される場合もあるため、区分選びは合格までの学習負担にも影響します。

では、5つの区分にはどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、それぞれの専門分野、仕事内容、試験科目、難易度、合格率を比較し、自分に適した区分の選び方まで詳しく解説します。

目次 [ close ]
  1. 1.労働安全コンサルタントとは?
  2. 2.労働安全コンサルタントの5区分を比較
  3. 3.機械区分|製造業の安全を支える専門家
    1. 機械区分の特徴
    2. 主な専門分野
    3. 代表的な労働災害
    4. こんな方におすすめ
  4. 4.電気区分|感電・電気火災を防ぐ専門家
    1. 電気区分の特徴
    2. 主な専門分野
    3. 代表的な労働災害
    4. こんな方におすすめ
  5. 5.化学区分|化学プラントの火災・爆発を防ぐ専門家
    1. 化学区分の特徴
    2. 主な専門分野
    3. 代表的な労働災害
    4. こんな方におすすめ
  6. 6.土木区分|インフラ工事の安全を支える専門家
    1. 土木区分の特徴
    2. 主な専門分野
    3. 代表的な労働災害
    4. こんな方におすすめ
  7. 7.建築区分|建築現場の墜落・倒壊災害を防ぐ専門家
    1. 建築区分の特徴
    2. 主な専門分野
    3. 代表的な労働災害
    4. こんな方におすすめ
  8. 8.土木と建築は何が違う?
  9. 9.5区分で試験内容はどう違う?
    1. 筆記試験の構成
    2. 口述試験の特徴
  10. 10.区分別の合格率を比較【令和7年度】
    1. 土木区分の受験者が圧倒的に多い
    2. 電気区分は最終合格率が最も高い
  11. 11.保有資格によって専門科目が免除される場合がある
  12. 12.どの区分を選べばよい?選び方の3つのポイント
    1. ①これまでの実務経験を活用できるか
    2. ②保有資格による科目免除があるか
    3. ③資格取得後にどの分野で活動したいか
  13. 13.試験区分によって資格取得後の業務は制限される?
  14. 14.独立開業や副業を考えるなら、どの区分が有利?
    1. 製造業を中心に活動する場合
    2. 化学工業を中心に活動する場合
    3. 建設業を中心に活動する場合
  15. 15.労働安全コンサルタントの5区分に関するよくある質問
    1. Q.5区分の中で一番難しいのはどれですか?
    2. Q.複数の区分を同時に受験できますか?
    3. Q.土木施工管理技士なら土木区分が有利ですか?
    4. Q.一級建築士なら建築区分の専門科目が免除されますか?
    5. Q.試験区分と異なる分野の仕事はできますか?
  16. まとめ|5区分は合格率よりも専門性で選ぼう

1.労働安全コンサルタントとは?

労働安全コンサルタントは、労働安全衛生法に基づく国家資格です。

事業者からの依頼を受け、事業場の安全について診断を行い、その結果に基づいて改善指導を実施する専門家として位置づけられています。

主な業務には、次のようなものがあります。

  • 事業場の安全診断
  • リスクアセスメントの実施支援
  • 労働災害の原因調査
  • 再発防止対策の立案
  • 安全衛生教育
  • 安全衛生管理体制の構築支援
  • 安全衛生マネジメントシステムの導入支援

資格試験に合格した後、指定登録機関への登録を受けることで、労働安全コンサルタントとして活動できます。

なお、労働安全コンサルタントは名称独占資格であり、安全に関するコンサルティング業務全般を独占する資格ではありません。

2.労働安全コンサルタントの5区分を比較

まずは5区分の特徴を一覧表で確認しましょう。

区分 主な対象 代表的な災害・危険 関連する実務分野
機械 製造設備・産業機械 挟まれ・巻き込まれ 機械設計・設備保全・製造業
電気 電気設備・電気工事 感電・電気火災 電気設備管理・電気工事
化学 化学設備・化学プロセス 火災・爆発・異常反応 化学工場・プラント運転
土木 土木工事・地盤・地下構造物 土砂崩壊・落盤 土木施工管理・インフラ整備
建築 建築工事・建築構造物 墜落・倒壊 建築施工管理・建築工事

5区分は、対応する産業や技術分野によって大きく分類されています。

特に間違えやすいのが、土木と建築の違いです。

どちらも建設業に関連しますが、土木は地盤や掘削、トンネル、道路などの工事に関する安全を重視する一方、建築は建築物の施工や高所作業などの安全を重視します。

もっとも、実際の作業現場では区分をまたぐ危険が存在するため、各分野の知識は相互に関連しています。

3.機械区分|製造業の安全を支える専門家

機械区分の特徴

機械区分は、工場や製造現場で使用される機械設備の安全を専門とする区分です。

製造現場では、工作機械、プレス機械、搬送装置、産業用ロボットなど、多種多様な設備が稼働しています。

これらの設備による災害を防止することが、機械安全の重要な役割です。

主な専門分野

  • 工作機械
  • プレス機械・シャー
  • 産業用ロボット
  • クレーン・運搬機械
  • ボイラー・圧力容器
  • 動力伝達装置
  • フェールセーフ設計
  • 機械設備のリスクアセスメント

代表的な労働災害

代表的なものは、機械への挟まれ・巻き込まれ災害です。

例えば、機械の清掃中に回転部分へ手を巻き込まれる事故や、プレス機械の可動部分に身体を挟まれる事故などが挙げられます。

機械安全では、作業者の注意力に頼るだけではなく、危険な部分への接近を防止する構造や、安全装置によって災害を防ぐことが重要です。

こんな方におすすめ

  • 製造業で安全管理を担当している方
  • 機械設計や設備保全の経験がある方
  • 機械メーカーに勤務している方
  • 産業用ロボットの安全に関心がある方

機械区分は、製造設備に関する技術的な知識と現場の安全管理経験を結びつけやすい区分といえます。

4.電気区分|感電・電気火災を防ぐ専門家

電気区分の特徴

電気区分は、電気設備や電気工事に伴う危険を対象とする区分です。

電気は多くの産業活動に不可欠ですが、取り扱いを誤ると感電、火災などの重大災害につながる可能性があります。

特に、高電圧設備や電気設備の保守点検では、専門的な安全管理が求められます。

主な専門分野

  • 電気機器
  • 高電圧設備
  • 漏電・感電防止
  • 電気設備の防爆構造
  • 静電気対策
  • 避雷設備
  • アーク溶接
  • 電気工事の安全管理

代表的な労働災害

代表的なものは、電気設備の点検中に発生する感電事故です。

また、絶縁不良による漏電や、電気設備の異常による火災なども重要な危険です。

電気安全では、設備の構造を理解したうえで、停電措置、絶縁、接地、保護装置などを適切に組み合わせる必要があります。

こんな方におすすめ

  • 電気設備の保守管理経験がある方
  • 電気主任技術者
  • 電気工事関連の実務経験者
  • 工場の電気設備管理を担当している方

電気分野の専門知識を活用し、安全管理の専門性を高めたい方に適した区分です。

5.化学区分|化学プラントの火災・爆発を防ぐ専門家

化学区分の特徴

化学区分は、化学物質の反応や化学プラントの設備などに関連する安全を専門とする区分です。

化学工場では、反応条件や設備の異常が大規模な火災・爆発につながる可能性があります。

そのため、化学物質そのものの性質だけでなく、製造工程全体の安全性を検討する能力が求められます。

主な専門分野

  • 化学プロセス
  • 反応安全工学
  • 防爆工学
  • 反応設備
  • 蒸留・抽出設備
  • 燃焼装置
  • 貯槽・配管設備
  • 計測・制御

代表的な労働災害

代表的なものは、化学反応の制御不良による火災・爆発事故です。

例えば、反応熱を適切に除去できず温度が上昇し、異常反応につながるケースなどが考えられます。

また、可燃性ガスや蒸気が漏えいし、着火源によって爆発する危険もあります。

こうした事故を防止するためには、プロセスの危険性評価や設備の安全対策が欠かせません。

こんな方におすすめ

  • 化学工場の技術者
  • 化学プラントの運転管理経験者
  • 化学プロセスの設計担当者
  • 化学工学を専門とする技術者

なお、化学物質による健康障害の防止を中心に扱う労働衛生の分野とは、専門領域が重なる部分もありますが、資格制度と試験内容は異なります。

労働安全コンサルタントの化学区分では、特にプロセス安全や火災・爆発防止が重要なテーマになります。

6.土木区分|インフラ工事の安全を支える専門家

土木区分の特徴

土木区分は、道路、橋梁、トンネル、河川などの土木工事に関連する安全を専門とする区分です。

土木工事では、地盤や地下水、気象条件など、作業環境が大きく変化することがあります。

そのため、施工方法と現場条件の両方を踏まえた安全対策が必要です。

主な専門分野

  • 土質力学
  • 構造力学
  • 掘削工事
  • トンネル工事
  • 工事用機械
  • 足場・型わく支保工
  • 発破作業
  • 落盤・土砂崩壊の防止

代表的な労働災害

代表的なものは、掘削工事中の土砂崩壊です。

地盤条件や掘削方法によっては、周囲の土砂が崩れ、作業者が巻き込まれる重大事故につながります。

土木安全では、地盤の調査、掘削計画、土留め設備などについて適切な安全対策を検討することが重要です。

こんな方におすすめ

  • 土木施工管理技士
  • 土木工事の現場監督
  • ゼネコンの土木部門勤務者
  • インフラ工事の安全管理担当者

土木施工や地盤に関する実務経験を、安全診断やリスク評価に活用しやすい区分です。

7.建築区分|建築現場の墜落・倒壊災害を防ぐ専門家

建築区分の特徴

建築区分は、建築物の施工に伴う危険を対象とする区分です。

建築現場では、高所作業、足場の組立て、資材の揚重など、多様な危険作業が実施されます。

特に、墜落・転落災害の防止は重要なテーマです。

主な専門分野

  • 構造力学
  • 建築構造
  • 足場・型わく支保工
  • 建築工事用機械
  • 施工法
  • 墜落災害防止
  • 仮設設備の安全

代表的な労働災害

代表的なものは、足場や屋根などからの墜落災害です。

墜落事故は重篤な傷害につながる可能性があるため、作業床や手すりの設置、墜落制止用器具の適切な使用などが重要になります。

また、施工途中の構造物や仮設設備の倒壊防止も重要な課題です。

こんな方におすすめ

  • 建築施工管理技士
  • 建築工事の現場監督
  • 建築施工の安全管理担当者
  • 建築構造や施工技術に精通した方

建築工事の実務経験がある方にとって、その知識を労働災害防止に活用できる区分です。

8.土木と建築は何が違う?

5区分の中でも、土木と建築は混同されやすい分野です。

両者は建設業に関連する点では共通していますが、専門性には違いがあります。

比較項目 土木 建築
主な対象 道路・橋梁・トンネルなど 住宅・ビルなど
重視する技術 地盤・掘削・土木施工 建築構造・施工
代表的な危険 土砂崩壊・落盤 墜落・倒壊
関連資格の例 1級土木施工管理技士 1級建築施工管理技士

例えば、トンネル工事の安全管理を専門とするのであれば土木区分、建築現場における足場や墜落防止を専門とするのであれば建築区分が自然な選択となります。

ただし、土木工事でも墜落災害は発生しますし、建築工事でも掘削や土砂崩壊への対策は必要です。

実務では両分野の知識が重なることを理解しておく必要があります。

9.5区分で試験内容はどう違う?

労働安全コンサルタント試験は、筆記試験と口述試験によって実施されます。

筆記試験の構成

筆記試験は次の3科目で構成されています。

科目 試験形式 出題数
産業安全一般 択一式 30問
産業安全関係法令 択一式 15問
専門科目 記述式 2問

産業安全一般と産業安全関係法令は、5区分に共通する科目です。

一方、専門科目は選択した区分によって異なります。

  • 機械区分:機械安全
  • 電気区分:電気安全
  • 化学区分:化学安全
  • 土木区分:土木安全
  • 建築区分:建築安全

専門科目は記述式のため、知識を暗記するだけでなく、技術的な内容を整理して説明する能力が求められます。

口述試験の特徴

口述試験では、産業安全一般と選択区分の専門科目について問われます。

専門知識に加えて、災害防止の考え方や、現場で問題が発生した場合の対応などを説明できることが重要です。

なお、資格等によって筆記試験の全部免除を受ける場合は、所定の手続きにより口述試験を受験します。

10.区分別の合格率を比較【令和7年度】

労働安全コンサルタント試験は、区分によって受験者数や合格率に違いがあります。

令和7年度(2025年度)の試験結果を比較してみましょう。

区分 筆記受験者数 筆記合格率 最終合格率
機械 148人 27.7% 20.3%
電気 84人 26.2% 23.8%
化学 57人 26.3% 21.1%
土木 967人 16.0% 12.6%
建築 328人 16.8% 12.5%

出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「第53回(令和7年度)労働安全・労働衛生コンサルタント試験 実施結果」

なお、最終合格率は、口述試験合格者数を、筆記試験受験者数と筆記試験全部免除者のうち実際に口述試験を受験した人数の合計で除して算出されています。

土木区分の受験者が圧倒的に多い

注目したいのは、土木区分の受験者数です。

令和7年度の筆記受験者数は967人で、労働安全コンサルタント全体の1,584人のうち、約61%を占めています。

建築区分の328人と合わせると、土木・建築の2区分が受験者の約82%を占める計算になります。

つまり、労働安全コンサルタント試験は、受験者数の面では建設関連分野の比重が非常に大きい試験といえます。

電気区分は最終合格率が最も高い

令和7年度では、電気区分の最終合格率が23.8%と、5区分の中で最も高くなっています。

一方、土木と建築の最終合格率は12%台でした。

ただし、この数字だけで電気区分が簡単、建築区分が難しいと判断することはできません。

受験者の専門性、実務経験、科目免除の状況などが区分ごとに異なるためです。

また、単年度の合格率には変動があります。

区分を選択する際は、合格率だけでなく、自分の専門知識や実務経験を重視することが大切です。

11.保有資格によって専門科目が免除される場合がある

労働安全コンサルタント試験では、一定の資格を有する受験者について、筆記試験の一部免除制度が設けられています。

代表的なものを紹介します。

保有資格等 対象区分 免除科目
技術士第二次試験合格者(機械部門等) 機械 機械安全
技術士第二次試験合格者(電気電子部門) 電気 電気安全
技術士第二次試験合格者(化学部門等) 化学 化学安全
技術士第二次試験合格者(建設部門等) 土木 土木安全
第1種電気主任技術者 電気 電気安全
1級土木施工管理技士 土木 土木安全
1級建築施工管理技士 建築 建築安全

技術士については、部門や選択科目などによって免除対象が細かく定められています。上表は代表例であり、すべての対象資格を掲載したものではありません。

また、一級建築士は所定の条件で受験資格として認められますが、一級建築士であることのみを理由とする専門科目の免除は、原則として設けられていません。

受験資格があることと、科目免除を受けられることは別の問題です。

この点は、受験前に必ず確認しておきたいポイントです。

12.どの区分を選べばよい?選び方の3つのポイント

5区分のどれを選ぶべきか迷った場合、次の3つの視点から考えることをおすすめします。

①これまでの実務経験を活用できるか

最も重要なのは、自分の専門知識や経験を活用できることです。

例えば、長年にわたり建築工事の施工管理を担当してきた方であれば、建築区分の内容を理解しやすい可能性があります。

また、機械設計の経験が豊富な方であれば、機械区分の方が取り組みやすいでしょう。

口述試験でも専門的な事項について説明する能力が求められるため、実務経験との親和性は重要です。

②保有資格による科目免除があるか

すでに保有している資格によっては、専門科目の免除を受けられる場合があります。

例えば、1級土木施工管理技士であれば土木安全、1級建築施工管理技士であれば建築安全の免除対象になります。

専門科目は記述式であり、学習負担が大きくなりやすいため、免除の有無は学習計画を考えるうえで重要です。

ただし、免除を受けても口述試験では専門知識が問われます。

科目免除があるからといって、専門分野の学習が不要になるわけではありません。

③資格取得後にどの分野で活動したいか

将来、どのような企業や現場に対して安全指導を行いたいのかも重要です。

例えば、製造業の安全診断に力を入れたいのであれば機械区分、化学プラントのプロセス安全を専門としたいのであれば化学区分が候補になります。

すでに取引先となる業界や得意分野がある場合は、その分野に関連する区分を選ぶことで、資格取得後の活動にもつなげやすくなるでしょう。

13.試験区分によって資格取得後の業務は制限される?

ここは誤解されやすい重要なポイントです。

労働安全コンサルタントには5つの試験区分がありますが、合格後の業務が試験区分によって法的に制限されるわけではありません。

この点は、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」でも明示されています。

つまり、機械区分で合格した労働安全コンサルタントが、建設業の安全管理に関する助言を行うこと自体が、試験区分を理由として禁止されるわけではありません。

ただし、業務に制限がないことと、すべての分野について十分な専門能力を有することは別です。

例えば、機械安全に詳しいコンサルタントであっても、地盤工学や化学プロセスの専門知識が十分でなければ、それらの分野において適切な診断を行うことは困難でしょう。

したがって、実際の業務では自分の専門性を適切に把握し、必要に応じて他分野の専門家と協力する姿勢が重要です。

試験区分は業務範囲を法的に限定するものではありませんが、専門性を示す重要な要素になると考えられます。

14.独立開業や副業を考えるなら、どの区分が有利?

労働安全コンサルタントは、企業内で専門性を活用するだけでなく、独立して安全診断や安全教育などを提供することも考えられる資格です。

ただし、どの区分が最も収益性に優れているかを一概に決めることはできません。

実際の収益には、専門分野、実務経験、顧客との関係、営業力、対応できる業務内容などが影響するためです。

製造業を中心に活動する場合

製造業との接点が多い方は、機械区分や電気区分の専門知識を活用できる可能性があります。

設備のリスクアセスメント、安全装置の検討、設備更新時の安全対策などが考えられます。

化学工業を中心に活動する場合

化学区分では、化学プロセスの危険性評価や火災・爆発防止に関する専門性を生かせる可能性があります。

ただし、高度な技術的判断が必要になるため、関連する実務経験や専門知識が重要です。

建設業を中心に活動する場合

土木区分や建築区分は、建設現場の安全管理経験を活用しやすい分野です。

安全診断、安全教育、リスクアセスメント支援、災害防止対策の検討などが活動の候補になります。

重要なのは、単に資格を保有していることではなく、企業が抱える具体的な安全上の課題を解決できることです。

資格取得後の事業展開を考えている方は、自分の得意分野を明確にし、提供できるサービスを具体化することが重要でしょう。

15.労働安全コンサルタントの5区分に関するよくある質問

Q.5区分の中で一番難しいのはどれですか?

客観的に一つの区分を最難関と断定することは困難です。

合格率だけを比較すると、令和7年度は土木・建築の最終合格率が低くなっています。

しかし、受験者の経験や免除制度の利用状況が異なるため、合格率だけで難易度を比較することは適切ではありません。

Q.複数の区分を同時に受験できますか?

同一年度の試験では、5区分のうち一つを選択して受験します。

複数分野の専門性を高めたい場合でも、まずは自分の実務経験に近い区分から検討するとよいでしょう。

Q.土木施工管理技士なら土木区分が有利ですか?

1級土木施工管理技士は、土木区分の専門科目「土木安全」の免除対象です。

このため、筆記試験の学習負担を軽減できる可能性があります。

ただし、口述試験では専門分野への理解が必要です。

Q.一級建築士なら建築区分の専門科目が免除されますか?

一級建築士であることのみを理由とする建築安全の科目免除は、原則としてありません。

一方、1級建築施工管理技士は建築安全の免除対象となっています。

受験資格と科目免除資格を混同しないようにしましょう。

Q.試験区分と異なる分野の仕事はできますか?

できます。

労働安全コンサルタントの業務は、試験区分によって法的に制限されるものではありません。

ただし、実際の業務では対象分野について十分な専門知識と経験を備えることが重要です。

まとめ|5区分は合格率よりも専門性で選ぼう

労働安全コンサルタントには、機械・電気・化学・土木・建築という5つの試験区分があります。

それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。

  • 機械:製造設備や産業機械の安全
  • 電気:電気設備や感電防止対策
  • 化学:化学プロセスの火災・爆発防止
  • 土木:地盤・掘削・土木工事の安全
  • 建築:建築工事の墜落・倒壊防止

試験では、共通科目に加えて、それぞれの専門科目が課されます。

また、一定の資格を保有している場合には、専門科目の免除を受けられることがあります。

区分選びで最も重要なのは、合格率の高低だけで判断しないことです。

これまでの実務経験、保有資格、将来取り組みたい専門分野を総合的に考える必要があります。

労働安全コンサルタントは、単なる知識試験ではなく、労働災害を防止するための専門性が求められる資格です。

自分の強みを最大限に生かせる区分を選ぶことが、合格への近道であり、資格取得後の活動にもつながるでしょう。


参考資料

  • 厚生労働省「労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント」
  • 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」
  • 公益財団法人安全衛生技術試験協会「労働安全コンサルタントの資格紹介・受験資格」
  • 公益財団法人安全衛生技術試験協会「第53回(令和7年度)労働安全・労働衛生コンサルタント試験 実施結果」

※本記事は2026年10月時点の公表資料を基に作成しています。受験資格、科目免除、試験日程などの最新情報は、試験実施機関の公式案内をご確認ください。