「労働安全コンサルタントって何をする資格?」

「労働衛生コンサルタントとは何が違う?」

「試験はどのくらい難しいの?」

労働安全コンサルタントは、労働安全衛生分野の専門資格ですが、一般にはまだそれほど知られていません。

名前がよく似た「労働衛生コンサルタント」と混同されることもあります。

しかし両者は、扱う領域が異なります。

簡単にいえば、

労働安全コンサルタント
=事故や災害を防ぐ「安全」の専門家

労働衛生コンサルタント
=健康障害を防ぐ「衛生」の専門家

です。

この記事では、

・労働安全コンサルタントとは何か
・どのような仕事をするのか
・労働衛生コンサルタントとの違い
・試験内容
・受験資格
・難易度と合格率
・取得後の活かし方

について、できるだけ分かりやすく解説します。

労働安全コンサルタントとは?

労働安全コンサルタントは、労働安全衛生法に基づく国家資格です。

試験に合格し、所定の登録を受けることで「労働安全コンサルタント」として活動できます。

労働安全衛生法では、労働安全コンサルタントの業務について、事業場の安全について診断し、その結果に基づいて指導を行うこととされています。

つまり、

「職場で事故や労働災害が起きないように、専門的な立場から診断・改善を行う専門家」

と考えると分かりやすいでしょう。

労働安全コンサルタントの仕事内容

労働安全コンサルタントの仕事は、単純に「危険な場所を探す」だけではありません。

職場の設備、作業方法、管理体制などを総合的に確認し、事故を防止するための仕組みを考えます。

代表的な仕事を見ていきます。

安全衛生診断

事業場を確認し、

・危険な設備はないか
・作業方法に問題はないか
・安全対策が適切に行われているか
・労働安全衛生法令に適合しているか

などを診断します。

問題があれば、その原因を分析し、具体的な改善策を提案します。

リスクアセスメント

労働災害を防止するために重要なのがリスクアセスメントです。

職場に存在する危険性や有害性を洗い出し、

「どのくらい事故が起こりやすいか」
「事故が起きた場合、どの程度重大になるか」

を評価します。

そのうえで、リスクの高いものから優先順位をつけて対策を行います。

労働安全コンサルタントは、このリスクアセスメントの実施や改善について助言することがあります。

労働災害の原因調査

転倒、墜落、挟まれ・巻き込まれ、機械事故、爆発、火災などの労働災害が発生した場合、原因を調査することもあります。

重要なのは、

「誰が悪かったか」

を探すことではありません。

なぜ事故が起きたのかを、

・設備
・作業方法
・教育
・管理体制
・人的要因

など複数の視点から分析し、再発を防止することが重要です。

安全教育

労働者や管理者に対する安全教育も重要な仕事です。

たとえば、

・リスクアセスメント研修
・労働災害防止教育
・危険予知活動
・安全管理者教育
・現場管理者への安全指導

などがあります。

事故を防止するには、設備を改善するだけではなく、組織全体の安全意識を高めることも必要です。

安全管理体制の構築

企業では、安全管理者や安全委員会など、安全衛生管理体制を整備する必要があります。

労働安全コンサルタントは、

・安全管理規程
・作業手順書
・安全衛生管理体制
・労働安全衛生マネジメントシステム

などについて助言することもあります。

労働安全コンサルタントと労働衛生コンサルタントの違い

非常に分かりにくいところですが、基本的な違いは「安全」と「衛生」です。

労働安全コンサルタントは、

・機械事故
・墜落
・転倒
・感電
・爆発
・火災
・建設災害

など、主に事故や災害の防止を扱います。

一方、労働衛生コンサルタントは、

・健康管理
・化学物質
・作業環境
・長時間労働
・メンタルヘルス
・健康診断

など、主に労働者の健康障害防止を扱います。

もちろん実際の職場では、安全と衛生を完全に分けることはできません。

両者が連携して職場全体の安全衛生水準を高めていくことが重要です。

労働安全コンサルタント試験には5つの区分がある

労働安全コンサルタント試験には、次の5区分があります。

・機械
・電気
・化学
・土木
・建築

受験者は、このうち1つの区分を選択して受験します。

労働衛生コンサルタントの「保健衛生」「労働衛生工学」と比べると、より工学系・技術系の専門性が強い資格といえます。

試験は筆記試験と口述試験

試験は、

筆記試験
↓
口述試験

という流れで行われます。

筆記試験の内容

筆記試験には、共通科目と専門科目があります。

【産業安全一般】
択一式30問

【産業安全関係法令】
択一式15問

【専門科目】
記述式2問

専門科目は受験区分に応じて、

・機械安全
・電気安全
・化学安全
・土木安全
・建築安全

のいずれかとなります。

筆記試験の合格基準

筆記試験では、総得点がおおむね60%以上であることが必要です。

さらに、1科目でも満点の40%未満となった場合は不合格となります。

つまり、

「専門科目だけ得意なら合格できる」

という試験ではありません。

産業安全一般、法令、専門科目をバランスよく学ぶ必要があります。

口述試験は約15分

筆記試験に合格すると、口述試験に進みます。

口述試験は約15分です。

試験区分に応じて、産業安全一般や専門分野について質問されます。

たとえば、

「このような事故が起きた場合、何を確認するか」
「どのような対策を行うか」
「再発防止のために何が必要か」

といった形で、単なる暗記ではなく、実務的な考え方を説明する力が求められます。

受験資格には実務経験が重要

労働安全コンサルタント試験は、誰でも自由に受験できる試験ではありません。

学歴、保有資格、安全に関する実務経験などにより受験資格が定められています。

たとえば、理科系統の大学を卒業した場合でも、その後一定期間「安全の実務」に従事した経験が必要となる場合があります。

受験資格には複数のパターンがありますので、

「自分は受験できるのか?」

については、受験年度の公益財団法人安全衛生技術試験協会の公式情報を確認することが重要です。

医師との関係は?

労働衛生コンサルタントでは、医師免許による筆記試験科目の免除制度があります。

一方、労働安全コンサルタントは、機械・電気・化学・土木・建築という工学系の専門性が中心です。

そのため、医師にとっては一般的に、労働衛生コンサルタントの方が専門領域との親和性は高いと考えられます。

ただし、産業医として工場や建設現場などに関わる場合、安全分野の知識を持っていることは非常に有用です。

事故を防ぐ「安全」と、健康障害を防ぐ「衛生」は、現場では切り離せないからです。

労働安全コンサルタント試験の難易度は?

令和7年度の労働安全コンサルタント試験では、

筆記試験受験者 1,584人
筆記試験合格者 288人

口述試験受験者 287人
口述試験合格者 225人

でした。

筆記試験の合格率は18.2%。

最終合格率は14.2%でした。

労働衛生コンサルタントの同年度の最終合格率21.0%と比較しても、数字上はかなり低い水準です。

決して簡単な資格ではありません。

試験区分によって合格率はかなり違う

令和7年度の最終合格率は、

・機械 20.3%
・電気 23.8%
・化学 21.1%
・土木 12.6%
・建築 12.5%

でした。

同じ労働安全コンサルタントでも、試験区分によって難易度にはかなり差があります。

単純に全体の合格率だけを見るのではなく、自分が受験する区分の傾向を見ることが重要です。

なぜ難しいのか?

難しさの一つは、幅広い安全知識と専門知識の両方が必要なことです。

産業安全一般では、

・安全管理
・人間工学
・安全心理
・安全教育
・保護具
・危険物
・防火
・労働災害の原因分析
・リスクアセスメント

など幅広い分野を扱います。

さらに、機械・電気・化学・土木・建築それぞれの専門知識も必要です。

加えて法令と口述試験まであるため、単なる暗記型試験ではありません。

労働安全コンサルタントを取得するメリット

取得する大きなメリットは、

「安全分野の専門家であることを客観的に示せる」

ことです。

特に、

・製造業
・建設業
・化学工場
・電気設備
・機械設備

など、安全管理が重要な業界では専門性を活かしやすい資格です。

また、

・安全衛生診断
・リスクアセスメント
・安全教育
・事故原因分析
・安全管理体制の構築

など、幅広い業務につなげることができます。

資格を取ればすぐ独立できる?

労働安全コンサルタントは、登録後、事業場から依頼を受けて安全診断や指導を行うことができる専門資格です。

ただし、資格を取っただけで自動的に仕事が増えるわけではありません。

実際には、

・これまでの実務経験
・専門分野
・企業とのつながり
・営業力
・情報発信
・他資格との組み合わせ

なども重要になります。

特に安全分野では、現場経験が非常に大きな意味を持ちます。

労働安全と労働衛生はセットで考えたい

職場の安全衛生を考える場合、

「安全だけ」
「衛生だけ」

では不十分です。

たとえば工場であれば、

機械による挟まれ事故を防ぐことは「安全」。

化学物質による健康障害を防ぐことは「衛生」。

長時間労働やメンタルヘルスへの対応も「衛生」。

転倒、墜落、感電などへの対策は「安全」。

このように、実際の職場では両方の知識が必要です。

産業保健に関わる人にとっても、労働安全コンサルタントがどのような役割を担っているのかを理解しておくことには大きな意味があります。

まとめ

労働安全コンサルタントは、事業場の安全について診断・指導を行う国家資格です。

試験には、

・機械
・電気
・化学
・土木
・建築

の5区分があります。

筆記試験では、

・産業安全一般
・産業安全関係法令
・専門科目

が出題され、その後に約15分の口述試験があります。

令和7年度の最終合格率は14.2%で、難易度の高い専門資格です。

労働衛生コンサルタントが「健康障害の防止」を中心とするのに対して、労働安全コンサルタントは「労働災害の防止」を中心とする専門家です。

労コンラボでは今後、

・労働安全コンサルタントと労働衛生コンサルタントの違い
・受験資格
・筆記試験
・口述試験
・取得後の仕事

などについても詳しく解説していきます。