2026年度の労働衛生コンサルタント筆記試験が、いよいよ目前に迫ってきました。
2026年の試験日は10月21日(水)です。
試験まで残りわずかとなり、
「今から何を勉強すればよいのだろう?」
「過去問をもう一度解くべき?」
「法令の細かい数字が覚えられない」
「記述式の対策が十分にできていない」
と焦りを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、試験直前の時期に大切なのは、勉強する範囲をむやみに広げることではありません。
これまで学んできた知識を整理し、実際の試験で得点できる状態に仕上げることです。
この記事では、労働衛生コンサルタント試験の直前期に優先したい勉強法を、科目別に解説します。
最後には、試験までの9日間で実践できる学習計画も紹介します。
1.2026年度の筆記試験は10月21日
まず、試験日程を確認しておきましょう。
第54回労働衛生コンサルタント試験の筆記試験は、2026年10月21日(水)に実施されます。
試験科目と時間は次のとおりです。
【労働衛生一般】
・試験時間:10時00分~12時00分
・出題形式:択一式
・問題数:30問
【労働衛生関係法令】
・試験時間:13時00分~14時00分
・出題形式:択一式
・問題数:15問
【専門科目】
・試験時間:14時30分~16時30分
・出題形式:記述式
・解答数:2問
専門科目は、保健衛生区分では「健康管理」、労働衛生工学区分では「労働衛生工学」を受験します。
なお、保有資格などによって筆記試験の一部または全部が免除される場合があります。
自分が実際に受験する科目を、受験票や申請内容で改めて確認しておきましょう。
2.試験直前は「勉強量」より「得点力」を重視する
残り9日という時期になったら、勉強の進め方を切り替える必要があります。
この時期におすすめしたいのは、次の3つです。
① 過去問で間違えた問題を優先する
② 法令の数字や実施要件を正確に整理する
③ 記述式の答案を実際に書いてみる
特に重要なのは、知識を増やすことと、試験で得点できることは必ずしも同じではないという点です。
例えば、労働衛生に関する参考書を何度も読んでいても、択一式で正誤を判断できなければ得点にはつながりません。
また、記述式では内容を理解していても、必要なキーワードを答案に盛り込めなければ十分な評価を得られない可能性があります。
直前期には「知っている」から「解答できる」への転換が必要です。
直前期に避けたい3つの勉強法
第一に、新しい参考書を次々と購入することです。
新しい教材には、まだ知らない内容が多く掲載されています。
しかし、そのすべてを短期間で習得しようとすると、かえって既習事項の復習時間が減ってしまいます。
第二に、得意分野ばかり勉強することです。
得意分野の問題は解いていて気持ちがよいものですが、直前期には苦手分野の改善も重要です。
第三に、過去問の正解番号だけを暗記することです。
本試験では問題文や選択肢が変わります。
正しい選択肢を選べるだけでなく、誤っている選択肢について「どこが間違っているのか」を説明できる状態を目指しましょう。
3.労働衛生一般の直前対策
労働衛生一般は30問の択一式です。
出題範囲が広いため、直前期にすべての分野を同じ比重で復習するのは効率的ではありません。
2025年度の公表問題を確認すると、労働衛生管理の基本的な考え方に加えて、石綿、じん肺、騒音、熱中症、健康管理、過重労働など、多様なテーマが出題されています。
直前期には、まず次の分野を確認しておきたいところです。
① 労働衛生の3管理
労働衛生の基本となるのが、次の3管理です。
・作業環境管理
・作業管理
・健康管理
それぞれの意味だけでなく、具体的な対策を分類できるようにしましょう。
例えば、有機溶剤を取り扱う職場で考えてみます。
作業環境管理では、発散源の密閉化や局所排気装置の設置などによって作業環境を改善します。
作業管理では、適切な作業方法の採用、ばく露時間の低減、呼吸用保護具の適正使用などを行います。
健康管理では、必要な健康診断の実施や健康診断結果に基づく事後措置などを行います。
試験では、個々の対策がどの管理に該当するかを問われることがあります。
単純な暗記で済ませず、具体例と結びつけて理解しておきましょう。
② 化学物質による健康障害
化学物質管理も確認しておきたい分野です。
特に、
・有機溶剤
・特定化学物質
・石綿
・粉じん
・金属による健康障害
・化学物質のリスクアセスメント
などについて、基本事項を整理しておきましょう。
それぞれの物質について、健康障害の特徴だけでなく、ばく露防止対策を説明できることが重要です。
また、化学物質管理者、保護具着用管理責任者、SDS、リスクアセスメント対象物などの制度についても確認しておきたいところです。
③ 物理的因子による健康障害
騒音、振動、高温、異常気圧、放射線なども重要です。
例えば、
・騒音性難聴の特徴
・振動障害の予防
・熱中症の発生要因
・WBGTを利用した暑熱環境の評価
・減圧症の発生機序
・電離放射線による健康影響
などを整理しておきましょう。
医学的な病態だけでなく、労働衛生上の予防対策と関連づけて確認することが大切です。
④ 過重労働とメンタルヘルス
過重労働やメンタルヘルス対策についても、制度と実務の両面から整理しておきましょう。
長時間労働者に対する医師の面接指導、ストレスチェック制度、健康情報の取扱い、職場復帰支援などが確認対象になります。
なお、2025年の法改正により、常時50人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務が拡大されることとなりましたが、施行日は2028年4月1日です。
2026年度試験では、将来施行される制度と、試験の基準日時点ですでに施行されている制度を混同しないことが重要です。
4.労働衛生関係法令の直前対策
労働衛生関係法令は15問の択一式です。
この科目では、法令の規定を正確に把握しているかどうかが問われます。
実務経験が豊富な方でも、選任要件や実施頻度、例外規定などを取り違える可能性があります。
直前期には、特に次の項目を優先して整理しましょう。
① 安全衛生管理体制
・総括安全衛生管理者
・衛生管理者
・産業医
・衛生委員会
・安全衛生推進者、衛生推進者
これらについて、選任が必要となる事業場の規模や業種、職務内容などを確認します。
例えば、産業医と衛生管理者は、原則として常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が必要になります。
一方、専属産業医の選任要件などには別の基準があります。
こうした違いを正確に理解しておくことが重要です。
② 健康診断と事後措置
一般健康診断と特殊健康診断の違いを確認しましょう。
特に、
・健康診断の対象者
・実施時期や頻度
・検査項目
・結果の記録と保存
・医師からの意見聴取
・就業上の措置
などを整理します。
健康診断を実施するだけでなく、その結果をどのように労働者の健康確保につなげるのかという視点も重要です。
③ 作業環境測定と有害業務
作業環境測定法、じん肺法、関連する労働安全衛生関係法令についても復習しておきましょう。
特に、
・作業環境測定の対象
・測定結果の評価
・記録の保存
・じん肺健康診断
・特殊健康診断
・有害業務に関する管理措置
などは、制度の違いを整理しておきたい項目です。
④ 法改正は施行日まで確認する
2026年度の試験では、2026年4月1日現在施行されている法令等が解答の基準になります。
法改正については、単に改正法が公布されたことだけで判断しないようにしましょう。
確認すべきなのは、
「いつ公布されたか」
ではなく、
「試験の基準日までに施行されているか」
という点です。
改正内容によって施行時期が異なる場合もあるため、厚生労働省や試験実施機関の公式情報を確認しておきましょう。
5.専門科目「健康管理」の直前対策
保健衛生区分の専門科目である健康管理は、記述式です。
択一式とは異なり、必要な知識を文章として表現する能力が求められます。
2025年度の試験では、4つの大問が提示され、指定された組合せから合計2問を選択して解答する形式でした。
直前期には、過去問題の指示文を読んで、解答問題の選択方法まで確認しておくとよいでしょう。
2025年度の出題テーマ
2025年度には、例えば次のテーマが出題されています。
・溶接ヒュームによる健康障害と労働衛生管理
・職場における腰痛予防
・高年齢労働者への対応
・治療と仕事の両立支援
・健康診断制度と産業医の役割
・睡眠や交替制勤務
ここからわかるのは、健康管理という科目名であっても、臨床医学だけを学んでいれば対応できるわけではないということです。
作業環境管理、作業管理、健康管理を組み合わせて説明できることが重要です。
記述式はキーワードを先に書き出す
例えば、
「化学物質による健康障害を防止するための対策を説明せよ」
という問題が出たとします。
この場合、いきなり長い文章を書き始めるのではなく、まず必要な項目を整理します。
・有害性の低い物質への代替
・発散源の密閉化
・局所排気装置の設置
・適切な作業方法の採用
・呼吸用保護具の適正使用
・健康診断と事後措置
・労働衛生教育
このように、回答に必要な要素を先に洗い出すと、論点の抜けを防ぎやすくなります。
そのうえで、それぞれを簡潔な文章にまとめていきます。
直前期は答案を書く練習をする
記述式対策でおすすめしたいのは、実際に時間を計って答案を作成することです。
知識があっても、文章としてまとめるには予想以上に時間がかかることがあります。
過去問を見て、まずは解答の骨格を短時間で作る練習をしてみましょう。
なお、公式サイトでは記述式の模範解答は公表されていません。
答案の見直しでは、法令や公的資料に照らして必要な論点が含まれているかを確認することが大切です。
6.専門科目「労働衛生工学」の直前対策
労働衛生工学区分を受験する場合は、工学的な健康障害防止対策を中心に確認しましょう。
特に、
・局所排気装置の原理と構造
・全体換気と局所排気の違い
・作業環境測定の考え方
・有害物質の濃度とばく露評価
・騒音や振動の評価
・換気量などの計算
・呼吸用保護具の選定
などを復習しておきたいところです。
計算問題については、公式を覚えるだけでなく、使用する物理量や単位の意味まで整理しておきましょう。
また、計算式を導く過程を説明できるようにしておくと、条件が変わった問題にも対応しやすくなります。
直前期には、未経験の難問に時間を費やすより、既に学んだ基本問題を確実に解ける状態にすることを優先しましょう。
7.医師など筆記試験の科目免除者は何を勉強するべき?
労働衛生コンサルタント試験には、一定の資格による筆記試験科目の免除制度があります。
例えば、医師国家試験合格者等が保健衛生区分を受験する場合、所定の免除申請によって「労働衛生一般」と「健康管理」が免除対象となります。
この場合、筆記試験で受験するのは「労働衛生関係法令」です。
なお、指定された講習を修了している場合には、筆記試験の全科目免除が認められる制度もあります。
科目免除は単に産業医資格を保有しているだけで自動的に決まるものではないため、正式な免除要件と申請内容を確認しておきましょう。
法令のみを受験する方の直前対策
労働衛生関係法令のみを受験する方は、残りの学習時間をこの科目に集中することができます。
特に、臨床医学の知識だけでは対応しにくい次の事項を優先するとよいでしょう。
・労働安全衛生法の基本構造
・産業医や衛生管理者の選任要件
・健康診断の法的義務
・特殊健康診断の制度
・化学物質管理に関する規制
・作業環境測定法
・じん肺法
医師として知っている医学的事項と、法律上の義務や実施要件は別の知識です。
「医学的には正しい説明」と「法令上正しい説明」が必ずしも一致しないことを意識して学習しましょう。
8.試験まで残り9日間の勉強計画
試験直前の学習計画を考えてみます。
これは、すべての筆記試験科目を受験する方を想定した一例です。
科目免除がある場合には、自分が受験する科目に時間を集中させてください。
10月12日~13日:過去問と弱点の確認
まず、過去問やこれまでの学習記録を見直します。
間違えた問題について、
A:理解できている
B:知識があいまい
C:ほとんど理解できていない
の3段階に分類しましょう。
直前期には、Bに該当する問題を重点的に復習する方法がおすすめです。
少し知識を整理するだけで、正解できる可能性が高まるためです。
10月14日~15日:労働衛生一般の復習
労働衛生の3管理、化学物質、物理的因子、健康管理などを復習します。
基本事項を確認したら、過去問の選択肢を一つずつ検討しましょう。
正解番号を覚えるのではなく、誤りの理由を説明できることを目標にします。
10月16日~17日:関係法令の集中対策
法令の数字、選任要件、実施頻度、記録保存などを中心に復習します。
特に、これまで間違えた問題を優先しましょう。
法改正についても、2026年4月1日を基準として確認しておきます。
10月18日~19日:記述式と総復習
記述式の答案を書く練習を行います。
過去問を使い、解答に必要な項目を整理してから文章にまとめましょう。
また、択一式の苦手問題も再確認します。
この段階で新しい分野を大幅に増やす必要はありません。
10月20日:最終確認
試験前日は、暗記事項や間違えやすい論点の確認を中心にします。
新しい難問に挑戦するよりも、これまで学習してきた内容の定着を優先しましょう。
受験票、本人確認書類、筆記用具、試験会場への交通手段なども確認します。
特に、試験開始時刻と会場への到着予定時刻を間違えないように注意してください。
9.合格基準を意識して得点を積み上げる
労働衛生コンサルタント筆記試験の合格基準は、原則として総得点のおおむね60%以上です。
ただし、受験した科目のうち、満点の40%未満となる科目がある場合には不合格となります。
つまり、得意科目で高得点を取るだけでは十分ではありません。
苦手科目でも一定の得点を確保する必要があります。
したがって、直前期の戦略としては、
「得意科目で得点を積み上げる」
ことに加えて、
「苦手科目で大きく失点しない」
ことも重要です。
これは試験当日の解答にも当てはまります。
わからない問題に時間をかけすぎず、解ける問題から確実に得点することを心がけましょう。
10.試験前日と当日の注意点
最後に、試験前日と当日に確認しておきたい事項をまとめます。
【試験前日】
□ 受験票を確認する
□ 顔写真付き本人確認書類の原本を準備する
□ 筆記用具を確認する
□ 試験会場と交通経路を調べる
□ 電車やバスの時刻を確認する
□ 間違えやすい法令の数字を復習する
□ 十分な睡眠時間を確保する
【試験当日】
□ 時間に余裕を持って会場へ向かう
□ 試験監督者の指示を確認する
□ 問題文の「正しい」「誤っている」を読み違えない
□ 難問に時間を使いすぎない
□ マークミスを確認する
□ 記述式では設問の条件と解答数を確認する
□ 解答時間を適切に配分する
試験当日は、これまで積み重ねてきた知識を落ち着いて発揮することが重要です。
直前になって焦ることもあると思いますが、すべての問題に完璧に答えられる必要はありません。
解ける問題を確実に解き、必要な得点を積み上げることを意識しましょう。
まとめ|残り9日間で優先すべきこと
2026年度の労働衛生コンサルタント筆記試験は、10月21日に実施されます。
試験直前の時期には、次の5つを意識することをおすすめします。
① 新しい教材を増やしすぎない
② 過去問で間違えた問題を優先する
③ 法令の数字や実施要件を整理する
④ 記述式では実際に答案を書く
⑤ 試験前日は復習と体調管理を優先する
試験範囲が広い労働衛生コンサルタント試験では、直前期にすべての知識を完成させようとするのは現実的ではありません。
だからこそ、学習の優先順位を明確にすることが大切です。
残された時間を有効に使い、これまでの学習成果を本試験で発揮できる状態に仕上げていきましょう。
受験される皆様の健闘をお祈りしています。
【関連記事】
労働衛生コンサルタント筆記試験の勉強法|科目別対策・過去問の使い方を徹底解説【2026年版】
【参考資料】
・公益財団法人安全衛生技術試験協会「第54回労働安全・労働衛生コンサルタント試験日程」
・同協会「労働衛生コンサルタントの資格紹介・受験資格」
・同協会「公表試験問題」
・厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」